凍蒜

台湾語は北部、中部、南部と各地方、各家庭によって発音が異なることがあります。ここでは、異なる地方出身の台湾語ネーティブの発音を複数収録しました。

[台湾語] 凍蒜 (ドンスゥァン)  擴音器
[日本語訳] 当選する
[例文]  ○○○(立候補者の名前)、凍蒜! (ドンスゥァン)   擴音器

[台湾華語]  ○○○、當選!
[日本語訳] ○○○、当選!

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台湾の選挙は熱い! まるでお祭り騒ぎのように派手でにぎやかです。街中は選挙ポスターであふれかえり、ビル一面=巨大な選挙看板。とにかくビジュアル&インパクト重視なので、人気アニメキャラクターに扮してコスプレで登場する人もしばしば。歩道橋にのぼりが立ち並び、選挙トラックの出動やラッピングバスを見かけるのも日常茶飯事。夜となるとライトアップされた選挙カーが複数台でパレードする風景も。
選挙期間中は、寝ても覚めても選挙一色。ニュースの話題も選挙に絡んだものが多い。とにかく、日本人の想像を絶するぐらい台湾人は選挙に熱心なのです。選挙期間中に台湾を訪れるとその熱気活気に圧倒される人が多いようです。

今回はそんな台湾ならではの選挙に絡んだ表現を紹介しようと思います。一位は、なんといっても「凍蒜」でしょう。

ぱっと見、「凍る」+「ニンニク」? なんじゃそりゃって思いますよね。選挙とニンニクの関連性はいまいち見い出すことができず、同じ漢字圏の日本人からでも、もはや理解不能な表現だと思いますが、ヒントは発音です。

「凍蒜」の発音は、「ドンスゥァン」で、実は台湾語の「當選」(tòng-suán)と同じ発音です。
つまり「当選する」という意味で、当て字を使った表現です。

選挙期間中、支持者たちが、誰々さん、何々さんと立候補者の名前を連呼し、ニンニクや葉ニンニクを持った手を高く上げて「凍蒜(ドンスゥァン)!」とスローガンのように繰り返し叫び、立候補者を応援する風景があちこちで繰り広げられます。まるで当選を祈るための儀式のような行動ですよね。台湾では、ニンニクが選挙時の縁起物とされているんです。ニンニクのほかに、選挙時の縁起物としてパイナップル、大根にも根強い人気があります。

パイナップルの台湾語は「王梨」で、発音はông-lâi(オンライ)ですが、一般的には本来の表記である「王梨」よりも、当て字の「旺來」のほうが、字面もよく縁起もいいので、よく使われます。「旺」は「商売がますます繁盛する」という意味合いがあります。

大根の台湾語は「菜頭」で、発音はchhài-thâu(ツァイ タウ)。華語の「彩頭」(幸先がいい)と発音が似ていることから、縁起のいいものとされています。ということから、候補者の選挙本部には支持者からプレゼントされたニンニクや、パイナップル、大根などの飾りが充満していて、外国人には少し不思議な風景に映るかもしれません。

パイナップルや大根の飾りは選挙期間中じゃなくても、アクセサリーなどの小物として普段から人気が高く、バッグや携帯につける人が多いのですが、ニンニクの場合は、選挙の時によく出てくる縁起物です。「凍蒜(ドンスゥァン)」という願いを込めて。

(文:趙怡華/2017年12月号掲載)

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