奇檬子


擴音器 台湾語は北部、中部、南部と各地方、各家庭によって発音が異なることがあります。ここでは、異なる地方出身の台湾語ネーティブの発音を複数収録しました。

[台湾語]奇檬子

   (キモチ)

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[日本語訳] 気持ち
[例文]  奇檬子毋好。

(キ モ チ ボ フォ)

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[台湾華語]  我心情很不好。
[日本語訳] 機嫌が悪いんです。

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50年間の日本統治時代が台湾社会にさまざまな影響や変化をもたらしました。1919年以降の「皇民化政策」の結果、42年になると、日本語の普及率は58パーセントになったそうです。このような背景の下で、日本語の語彙が大量に台湾語に入りました。もちろん、時代の変遷とともに消えていった死語もありますが、いまだに使われているものも少なくありません。
「奇檬子(キモチ)」がその代表の一つと言えましょう。
もともと、日本語の「気持ち」がそのまま台湾語として定着したものです。意味は日本語と同じで、気分、心地という意味で使われています。
使い方のバリエーションとして、語尾の「ち」が省略されKhi-moとなり、Khi-moが台湾語の形容詞bai(悪い)と結びついて、Khi-mo-bai(キモバイ)となり、気分が悪い、機嫌が悪い、不愉快だという意味合いとしてもよく使われます。Khi-mo-baiの反対語として、Khi-mo-gian(キモヤン)という表現も台湾人がよく使います。意味は気分上々、愉快だ、上機嫌であるです。

Khi-moは華語でいうと心情(xīn qíng)や情緒(qíng xù)です。Khi-mo-bai(キモバイ)は心情不好(xinq qíng bù hǎo)。Khi-mo-gian(キモヤン)は心情好(xīn qíng bù hǎo)です。

日本語からの借用語なので、もともと発音しかなかったのですが、いろいろな漢字が当て字として使われています。例えば、Khi-moに「起毛」(台湾語ではキモと発音する)を当てたり、日本語のキモチに「奇檬子」(台湾語ではキモチという発音に近い)を当てたりしています。

そのうち、「奇檬子」という当て字が定着していきました。今は、洗剤のブランド名、飲食店の店名、ファッションブランド、民宿など「奇檬子」と冠するものは枚挙に暇がありません。字面から見ても、「奇檬子」はなんとなく、奇(奇妙)、レモン(檸檬)などと連想させ、甘酸っぱい、きれいなイメージがあるのと、発音のリズム感もいい、覚えてもらえやすいということから愛用されているのですね。

補足ですが、ネット上では台湾語のbaiを漢字で「歹」(教育部用字は「䆀」)、gianを時々「央」と書く人もいます。「機嫌が悪い」を「起毛歹」や「起毛不央」で、「機嫌がいい」を「起毛央」とする表記を見かけることがあります。しかし、「奇檬歹」や「奇檬央」と書くことはありません。「奇檬子」はあくまでも「キモチ」という一つの単語として使われているのです。「奇蒙子」と表現することもあります。蒙と檬は発音が一緒です。

(文:趙怡華/2017年9月号掲載)

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