春爛漫! 鉄観音の郷(さと)、猫空でお茶グルメを満喫

台北市の南部に位置する猫空。ここは鉄観音茶の郷として知られている。市内とは思えないほどの豊かな自然に恵まれ、山肌には眺めのよい茶芸館が点在している。最近では茶葉を用いたデザートや創作料理も人気だ。今回は猫空の魅力を紹介してみたい。

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取材・文:片倉真理/写真:片倉佳史

猫空䌫車の旅
ロープウエーで空中散歩

猫空観光の起点となるのは台北市立動物園。ここから猫空まではロープウエーでアクセスする。全長は約4キロ。鬱そうとした緑の上をゴンドラがアップダウンを繰り返しながら進んでいく。所要時間は約20分。その変化に富んだ車窓に退屈を覚えることは決してないだろう。

遠くには台北101をはじめ、台北の家並みが見下ろせるほか、眼下には亜熱帯特有の潤いに満ちた森が広がる。その様子は想像以上にダイナミックで、圧倒される。同時に、耳に入ってくるのは鳥のさえずりと風の音だけで、至って静か。列車やバスとは異なる独特の旅気分が楽しめる。

なお、猫空ロープウエーには通常ゴンドラのほか、「水晶車廂」と呼ばれる床面がガラス張りのクリスタル・ゴンドラもある。大自然をより間近に体感したければこちらがお勧め。週末や夏休みなどには長蛇の列ができるが、往路よりも復路の方が比較的空いているので、帰路にこちらを選ぶのが賢い。

福建から持ち込まれた
絶品の鉄観音茶

ロープウエーを下りると清らかな空気が全身を包み込む。ここは標高約300メートルに位置し、市内に比べるとやや涼しい。また、朝晩の気温差が大きく、これが美味しい台湾茶を育む。

猫空一帯は台湾では唯一とされる鉄観音茶の産地である。今から約120年ほど前に中国大陸福建省の安渓から張迺妙氏によって鉄観音茶の茶樹が持ち込まれたという記録が残っている。現在もこの地で茶業に携わる人のほとんどが「張」姓だという。これは偶然ではなく、当時、安渓から移民してきた人々の子孫である。

鉄観音茶は中発酵で、焙煎はやや強めになっているのが特色。現在はさまざまな種類の茶樹で作られているが、鉄観音種の茶樹を用いた正真正銘の鉄観音茶は「正欉鉄観音」と呼ばれ、区別されている。これはフルーツのような独特な芳香をもつが、製法が煩雑なため、生産量は年々少なくなっているという。

そのほか、この一帯では昔から「包種茶」の栽培が盛んに行われてきた。こちらは発酵度が低く、緑茶に似た味わいで、蘭の花のような香りを持つ。さらに、最近では鉄観音茶の茶樹を用いた紅茶「鉄観音紅茶」という新品種が登場し、話題となっているので、試してみよう。

台湾茶ソフトクリームに茶葉料理
台湾茶美食を楽しもう

猫空では茶芸館でゆっくりと台湾茶を味わいたい。この一帯には多数の茶芸館が点在しているが、お薦めは「緣續緣」と「邀月茶坊」。「緣續緣」は猫空駅を背にして右手すぐ。台北101を見下ろせる絶好のロケーションにある。

また、「邀月茶坊」は駅からやや離れるが、その分、静かな環境が魅力的。オープンテラスの席からは茶畑が眺められる。緣續緣と同様、茶農家が経営しており、自家製の鉄観音茶が楽しめる。

そして、猫空を訪れたら、ぜひとも茶葉を用いた創作料理を楽しみたい。駅から徒歩10分の距離にある「大茶壺」は茶葉料理の専門店。これまであらゆる賞を受けてきたという若き名シェフ、阿義師が考案した料理はいずれも手が込んでいる。食材によって使用する茶葉の種類や焙煎方法を変えるなど、細部にこだわって新しい料理を創り出している。日々研究を重ねている阿義師だが、人気メニューを訪ねると、茶葉とエビを揚げた「翠玉茶鑽蝦(420元)」と、茶の実の油で炒めた鶏肉「薑煸茶油鶏(450元)」という答えが返ってきた。ちなみにここで用いられる茶油は地元の茶農家の手によるもので、芳醇な香りが自慢だ。

食後は茶葉を用いたデザートも楽しみたい。駅に近いギフトショップ「觀鼎」では鉄観音紅茶や包種茶を用いたソフトクリームが味わえる。さらに、「茶町」では猫空出身のパティシエ・高憲鴻氏が開発したという茶葉洋菓子を味わえる。お茶風味の生チョコやパイナップルケーキ、焼き菓子などは、お土産にも喜ばれそうだ。

古刹・指南宮を参拝

台湾茶を存分に味わった後は、猫空から一駅戻って指南宮に寄ってみよう。ここは1890年に創建された道教寺院で、広大な敷地に道教、儒教、仏教の神様が祀(まつ)られている。主神とされるのは八仙人の一人である呂洞賓だ。呂洞賓は女神である何仙娘との恋が叶わなかったという逸話で広く知られ、台湾の人たちの間では「指南宮に恋人同士で訪れると呂洞賓に嫉妬され、別れを招く」という都市伝説が存在する。また、呂洞賓は理髪師の神様ともいわれ、大勢の理髪師が散髪用のハサミをお供えに訪れる。

そして、指南宮の魅力は何と言っても素晴らしい眺望にある。夕暮れ時には撮影を目的にここを訪れる人も少なくない。ちなみに、参道には日本統治時代に寄進された日本式の燈籠が残っているのでチェックしてみよう。

ちょうどこの時期、猫空は淡いピンクの杏の花が見ごろとなる。ロープウエーに乗って「春探し」に出かけてみよう。無理なく日帰りが可能な行楽地で、日本よりも少し早い台湾の春を感じてみたい。


アクセス

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MRT文湖線動物園駅下車後、徒歩約5分で猫空纜車(ロープウエー)の乗り場に到着。動物園駅から猫空までは約20分。運行時間は9:00~21:00(金曜は~22:00、土曜は8:30~、日曜は8:30~21:00)。片道120元(台北市民の場合は50元、居留証を提示)。月曜は運休。

緣續緣
住所:台北市文山區指南路三段38巷16號
電話:(02)2936-7089
営業:11:00~深夜2:00(週末は~翌朝4:00)
邀月茶坊
住所:台北市文山區指南路三段40巷6號-2
電話:(02)2939-2025
営業:24時間営業
大茶壺
住所:台北市文山區指南路三段38巷37-1號
電話:(02) 2939-5615
営業:10:30~22:00(月曜定休)
觀鼎
住所:台北市文山區指南路三段38巷16-5號
電話:(02) 2939-5359
営業:10:00〜22:00(月曜定休)
茶町
住所:台北市文山區指南路三段40巷8-5號
電話:(02)2938-6000
営業:10:00〜19:00(月曜定休)

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