柯有倫 コー・ヨウルン

父への想いを胸に、さらなる飛躍を

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父・柯受良(コー・ショウリアン)の影響で、5歳の時に子役デビューした柯有倫(コー・ヨウルン)。小さいころから多数の香港映画・ドラマなどに出演しています。青年へと成長した2004年、人気ドラマ『戦神』(戦神~MARS~)の主題歌『零』で一躍注目され、2014年までに5枚のアルバムをリリース。収録曲のおよそ半分は自ら作詞・作曲も手掛けるなど、歌手としてだけでなく、クリエーターとしての才能にも恵まれました。そして先月12月には3年ぶりとなるアルバム『飛』をリリース。期待の新作を中心にお話を伺いました。

※柯受良(コー・ショウリアン/1953~2003)=華人圏で広く活躍したアクション俳優。万里の長城をバイクで飛び越え、ギネス世界記録にも認定されている。

─まず12月にリリースした最新アルバム『飛』をご紹介ください。

「『飛』は私の6枚目のアルバムです。前作の『解放浪漫』より3年がたちました。私にとって今回のアルバムは、楽しく音楽を作る感覚を取り戻せました。前作では自分の音楽が時代に合っていることをアピールしたかったのですが、今回はそういうことを一切考えず、自分の年齢にふさわしい音楽を作りました。収録曲の作詞・作曲から収録、プロデュースまであらゆる製作過程に取り組みました」

─どのような曲が収録されていますか。

「今回は10曲です。昔歌ったのは若いロックでしたが、今回は36歳という年齢にふさわしい大人のロックを披露しています。そのうち『如果還有』という曲だけは、『如果還有明天』という歌を歌った歌手・薛岳(シュエ・ユエ)へのオマージュで、ヒップホップとラップの曲です。それ以外のほとんどの曲はロックスタイルです」

─製作において一番大切にしていることは何ですか。

「一番大切にしている点は、歌詞で伝えたい思い、物語性がある歌です。例えば『飛』という歌は、若い人に好かれるような歌ではないかもしれません。自分がこの十数年で遭遇した困難や経験したことを歌詞に取り入れました。私と同年代の人は、仕事で大変な時など、この歌を聴けば励まされると思います」

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─「飛」というアルバム同名の曲では特にどんな思いを伝えたいですか。

「“飛ぶ”という行為で、さまざまな不可能なことにチャレンジしたかつての父の姿が今でも記憶にあります。それで初めてこの曲を聞いた時、深く考えずにタイトルに“飛”という字を入れました。リズムやメロディーも『飛ぶ』というテーマに合っているので、父の大胆さをしっかり表現できたと思います」

─特に気に入っている歌詞やメロディー、あるいは共感できる部分はありますか。

「『飛』という曲で一番気に入っているのは、歌詞のない2回目のサビの後の『Yeah~還沒放棄的夢想(まだ諦めていない夢を)』ですね。その『Yeah~』が、今までのアルバムの中で一番うまく歌えた部分だと思います(笑)。小さいころに聴いたロック歌手の声の響きと喉の痛みが理解できたような気がします。昔の自分ではできませんでした。今度のアルバムを作るにあたって、できるようになりました」

─そういえば、以前と比べると今回のキーは少し低めですね。

「正直なところ、以前のキーは自分にとって高すぎました(笑)。自分のキーがどのくらいかよくわかっていなかったので、若いころはいつも高い声でシャウトしてばかりで、途中で声がかれたこともあります(笑)。プロデューサーやほかのスタッフは私がそういう声を出せると信じていましたから。例えば今回の『飛』とデビューアルバムの『零』とはかなりの差があります。音程の高い『零』と比べ、『飛』は喉を楽にして歌えました。ファーストアルバムの時に高いキーで歌うイメージが定着してしまったので、ほかのプロデューサーも高いキーで歌うのが普通だと思っていたようです。ですが今回は自分がプロデューサーでもあるので、低めで歌ってみることにしたのです。でも実は、今でも自分がどんな声なのかよくわかっていないかも(笑)」

─PVでは大型バイクに乗っている姿が特に印象に残りますね。

「バイクに乗ることで、父のしていたことに近づけたらと思いました。スピードこそが彼の人生の象徴でしたから。もし自転車だったらおかしいでしょう(笑)。バイクにした一番の理由は、3歳の時に初めて父にバイクに乗せられ、5歳の時にはキッズバイクに乗って映画に出演しました。ですからバイクは父と一番関係の深いものだと思います」
どんなスタイルであれ「創作」はやめない

─大ヒット映画『陣頭』では主役を演じられたほか、主題歌も担当されましたね。

「あの曲は私の最初の台湾語の歌です。実は台湾語ができないので、スタッフたちが一言一句教えてくれました。発音だけでなく、アクセントも合わせなければなりません。歌詞は覚えましたが、実際に歌ったら皆に笑われました(笑)」

─今後、磨きたい分野は何ですか。

「今後も創作の方向にいきたいと思っています。どんなポジションに行けるかはわかりません。現代はインターネットが普及しているため、創作の分野が広くなり、歌手はただ歌詞を書くではなく、なにかを撮ったり、または舞台で踊ったりすることもできます。さまざまなジャンルがありますが、創作だけはやめません」

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─今まで一番苦労されたことは? またそれをどのように克服しましたか。

「数えきれないほどの壁にぶつかってきました(笑)。でも、目の前の壁を乗り越えるたびに、創作面では力を与えてくれました。今思えば、もし何の障害にもぶつかっていなければ、たぶん今は創作はしていないかもしれません。一番つらいときこそ書きたくなりますから。父が亡くなった時はつらくてどうしようもありませんでしたが、幸い事務所がアルバムを作らせてくれました。するとすべての悲しみやつらいことを歌詞に反映できたのです。そういう(悲哀を表現した)アルバムは皆に気に入ってもらえるようです。似たような境遇の人たちの力になれるのかもしれません。今でもいろいろ大変なことはありますが、自分にとってそれは必要な経験で、それがないと成長できないと思います」


Profile

1981年生まれ。父親の影響で5歳で子役デビュー。2005年より歌手として本格的に活動を始め、これまで『Alan 柯有倫』(05)、『Welcome to My World』(07)、『One Day』(09)、『無畏無懼』(10)、『解放浪漫』(14)などをリリース。映画の代表作は『陣頭』(11)、『聽見下雨的聲音』(13)など。最新作は自身6枚目のアルバム『飛』(17)。


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『飛』
2017年12月25日リリース。柯有倫(コー・ヨウルン)の6枚目のアルバム。本人の作詞・作曲によるセルフプロデュース作。全10曲収録。今の彼の世界観を余すことなく表現したニューアルバム。

(2018年1月号掲載)

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