毋知影

擴音器 台湾語は北部、中部、南部と各地方、各家庭によって発音が異なることがあります。ここでは、異なる地方出身の台湾語ネーティブの発音を複数収録しました。

[台湾語] 毋知影

    (ンザイヤン)

擴音器

 [日本語訳] わかりません

[例文]  我毋知影。

(グァ ン ザイ ヤン)

擴音器

[台湾華語]  我不知道。

[日本語訳] わからないんです。

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「必ず使う台湾語の表現を教えてください」と、台湾旅行に行く日本人の友人からよく聞かれるのですが、例を挙げだしたら、それこそ一冊の本にもなり得るくらいきりがありません。そこで今回は、あえて一つだけピックアップして紹介したいと思います。

「わからない」「知らない」という表現です。

ご存じの方も多いかと思いますが、台湾華語では「わかる」「知る」という単語である「知道」(zhī dào)の前に否定の不(bù)を付ければ、否定形の不知道=わからない、知らないとなります。台湾語でも同じ理屈です。

わかる、知るの「知影(ザイ ヤン)」の前に否定の「毋(ン)」を付けて、毋知影(ンザイ ヤン)=わからない、知らないになります。

 

ところが、台湾語には当該発音を漢字でどう表記するべきか定まっていない単語があるため、以前から発音の似た漢字を借用して当て字にするという傾向がよく見られます。日本語みたいに外来語を表記するのに便利なカタカナがないので、外来語の発音に似た発音の漢字を当てて新しい表現を生み出していくということは、台湾語だけではなく華語においてもよく見られる現象です。

もっとも、漢字は一つ一つ意味があるので、似た発音の漢字を当てる際に、発音だけではなくて字面やその漢字に含まれている意味合いも考慮しなければ世間に通用する表記にはなりません。

最も有名な例は「コカ・コーラ」です。当初は蝌蚪啃蠟(kē dǒu kěn là)という当て字が使われていたようですが、売れ行きがさっぱりでした。それもそのはず、蝌蚪啃蠟という表記は、発音は似ているにしても、その字面から、オタマジャクシが蝋(ろう)をかじると連想させられてしまうので、あまり飲みたいという気持ちにはならないのです。その後、可口可樂(kě kǒu kě lè)に当て字を改めたところ、音良し字面良し意味も良しの三拍子そろった名訳となったのでした。

その意味では、「毋知影(ンザイ ヤン)」の当て字で有名になったのが、今回ご紹介させていただきたい「莫宰羊(mò zǎi yáng)」です。宰は「動物をつぶす、屠殺する」という意味で、莫は「~するな、しないで」。「莫宰羊」という漢字の意味からすれば、「羊を殺さないで」という意味になります。台湾語の「毋知影(ンザイ ヤン)」を面白くおかしく表現したい場合に、漢字の意味からすれば全く違う意味になる「莫宰羊」という表現がよく使われています。

挙句の果てには、それをさらにパロディーにしたというかダジャレというか、莫宰羊を店名にした有名な羊料理店もできたのです。しかも、味もそこそこ美味しい人気店だそうです。台湾人らしいユーモアです。

羊料理が無性に食べたくなってきた今日この頃です。

(文:趙怡華/2017年11月号掲載)

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