第50回 お花見の話

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湾に住んでる日本人なら、みんな感じたことがあるんじゃないでしょうか。

シーズンによって飛行機のチケットがめちゃくちゃ高くなることがある。それはもう高すぎるというか、それでも席が取れない。

この典型的なのが旧正月と夏休みです。この二つの期間は長期休暇が取れるし、子供も休みだしということで、みんな海外へ行くならこの時期に。ということでチケット料金も期間限定で跳ね上がるのです。そして、それがわかってるもんですから、ぼくのほうもできるだけこの時期に日本に帰国するのは避けるという習慣が知らず知らずのうちにできています。

ところが、最近は旧正月と夏休みにくわえて花見のシーズンにもこの現象が見られるようになりつつあります。

たしかに日本の桜はきれいだし、花見したいのはわからないでもありませんが、それによってチケット料金が上がるというのは何とかしてほしいというか、できれば日本の航空会社には帰国用に海外在住日本人優待チケットなんてのを作ってほしいなんて本気で思ったりさえします。


れにしても、花見という習慣、台湾じゃあまり聞きません(月見は盛んなんですけどね)。

今から10年ほど前、我が家では花見を兼ねたピクニックをしようということになって、地面に敷くピクニックシートを買いに行きました。

当時はどこにもそんなもの売ってなかったんで、何となくありそうなところということで「五金行(ウージンハン)(金物屋のようなところ)」へ行きました。

「公園で花見をしたいんだけど、下に敷くシートのようなもの売ってない?」

「ああ、あるよ」

そういいながら、店主が持ってきたのがテーブルシート。家庭のテーブルの上に敷くペラペラのビニール製シートです。

――これ、違うんじゃないの。

心の中では何となくそんなことを思いましたが、それでもほかになさそうだったので、それを買って公園へ。

公園ではそのシートの上に座って、食べ物を取り出して、と花見をはじめたんですが、思わぬ状態に。シートの表面に芝生の切れ端が無数に付着。手で払っても払っても、ぺったりくっついて取れないんです。

芝生まみれのピクニックシート。

やはり、計画自体に無理があったと認めざるをえませんでした。

ところが、最近では可愛らしいピクニックシートなるものが多数登場しています。

休みの日に大安森林公園などに行くと、カラフルでおしゃれなピクニックシートに座った家族連れや友達連れが午後のひとときを自然に触れ合いながら満喫している姿があちこちに。そして、きれいなバスケットとかも持ってて、ふたを開けると中にはサンドイッチが。ああいうのはアメリカのテレビドラマでしか見ないものだと思ってましたが、目の前で実際に見ると何だか不思議な気分です。それから、ピクニックシートが芝生まみれになってないのはもちろんのことです。


10年ほどで、一気に本格的になったピクニック文化。そんなことを思うと、花見だってこの先どうなるかわからないと思います。

もともと日本文化が大好きな台湾のことですから、いつの間にか公園にも一面に桜の木が植わってたりして。その下ではみんなで集まって、弁当を食べてたりしても全然驚きません。それどころか、赤い毛氈(もうせん)を敷いて、その上で重箱弁当かなんか取り出してる姿さえ想像できます。

そうなったら、わざわざ日本へ花見に行く人も減って、飛行機のチケット料金も少しは安くなるのでしょうか。

今年も花見のシーズンがやって来ます。

(2018年3月号掲載)

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