第24回 選挙の話

 2016年、新しい年のはじまりです。

そして、そのはじまりとほぼ同時に、台湾では今年、4年に一度の総統選挙があります。

ぼくは普段あまりというか、ほとんど政治については書かないんですが、台湾にいながら、このビッグイベントを避けて通るというのも何だか却って不自然な感じがする。というわけで、きょうは少し選挙の話をしてみたいと思います。

さて、台湾でも選挙の季節が近づくと、それとともに街のあちこちで「決戦」の雰囲気が漂ってきます。

「拝託(バイトゥオ)、拝託(お願いします)」と声を枯らしながら走る選挙カーや毎日のように家のポストに突っ込まれる宣伝のティッシュ。それに何万人もの人が一列になって手を繋ぐ等々のパフォーマンスとか。さらに、それぞれの陣営ではたくさんの人たちが集まってラッパを鳴らしたり小旗を振ったり。

こういうのを見てると、選挙権も支持政党もないぼくでも何だか気分が盛り上がってきます。そして、時にはここに劇的な大どんでん返しや暗殺未遂劇までくわわるもんだから、不謹慎だといわれるかもしれないけど、血沸き肉躍るわけです。

 

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イラスト 高橋きのこ

 

ところが今回の選挙、例年とどこか様子が違います。

ひと言でいえば、まったく盛り上がらないというか、あの「決戦」の雰囲気がイマイチ感じられないのです。

で、そこのところを台湾人の友達何人かに聞いてみました。すると、みんな口をそろえたように、「結果が見えてるからね」という答え。

そうです。今回に限っていえば、勝って当たり前のチームと勝つ見込みがほとんどないチームの対戦。といわざるをえなく、盛り上がりたくても盛り上がれない。まあ、強いほうのチームのサポーターなら、そんなことは関係なく、イケイケとばかりに勝利目指して応援できると思うんですが、でも第三者からすれば、こういうのは全然おもしろくないのです(また不謹慎ですみません)。

とにかく、そんなわけで今回の選挙は期待できないと思っていたのですが、最近友達から思わぬ話を聞きました。

「だったら、立法議員の選挙だよ」

そういえば、今回の選挙は初めての、総統選と立法議員選のダブル選挙でした。で、彼女の話では「大洗盤(ダーシーパン)(シャッフル)」が起きそうだとか。つまり、過去何期も当選を続けてた大御所議員が安泰というわけではなく、彼らもそれを察してか危機感を募らせてるとのこと。

で、その原因が「初めて投票する人たち」にあるとか。台湾にはこの4年間、新たに選挙権を得た若者が80万人ほどいるそうで、彼らにしてみたら、大御所の議員なんて関係ない。この票の行方が読めないところが「大洗盤」を起こす可能性があるというのです。何だか一気に興味が湧いてきました(またまた不謹慎ですみません)。

 

さて、何だかんだといいたい放題いってきましたが、ぼくも台湾に暮らす身、実のところは次期総統にはかなり期待してます。

何を期待してるかというと、少しいいづらいんですが、過去の選挙はまさに死闘といった激戦が繰り広げられた反動か、いざ当選すると総統はその時点ですでに目的を達成したかのごとく、燃え尽き症候群と化してしまうことがしばしば。

でも、楽勝が予想される今回はおそらくそんなことはないはず。当然、当選したあとの政策を考える余裕もあるわけで、今以上に社会がよくなるのではと思ってしまうのです。国際情勢も不安なこのごろだけに、どうしてもそんな期待は募るばかりなんですが……。

ともあれ、その前に1月16日の投票日。

今回はどんなドラマが繰り広げられるか、まずはそっちのほうを楽しんでみたいと思います(最後まで不謹慎ですみません)。

選挙の話でした。

(2016年1月号掲載)

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