Formosa再発見!  風の町、新竹 歴史散策とB級グルメを楽しむ

取材・文:片倉真理/写真:片倉佳史(かたくらドットねっと)

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1.緑が美しい城壁の跡地。

 台湾の北西部に位置する商業都市。「台湾のシリコンバレー」という異名を誇り、ハイテク産業の基地として知られている。一方でその歴史は清国時代にさかのぼり、町のいたるところで歴史建築を目にする。そして、庶民が育んできた食文化も大きな魅力となっている。のんびりとミニトリップを楽しんでみたい。 

 

瀟洒な新竹駅から散策をスタート

新竹はハイテク産業の都市として注目されている。外資系企業が数多く進出しており、日本人や欧米人の姿を見かけることも少なくない。同時に、歴史や文化を誇る都市でもあり、市内には多数の歴史建築や古跡が残っている。
歴史散策の起点となるのは、町の玄関口でもある台湾鐵路の新竹駅。ここは2013年に百周年を迎えた老駅舎で、台湾を代表する駅舎建築とされている。中央上部に時計塔を抱き、風格が漂うバロック建築は、ドイツ留学経験がある松ヶ崎萬長(まつがさき・つむなが)によって設計された。随所に精緻な装飾が施されており、何度見ても飽きることがないだろう。ちなみに、同じく大正期に建てられた台中駅は今年10月に駅舎としての役目を終えてしまったが、こちらは今も現役を貫いている。
駅舎を背にして中正路を進むと、清国時代に建てられた城門「迎曦門」が現れる。かつての新竹は城壁に囲まれ、東西南北に城門が設けられていたが、現存するのは迎曦門だけとなっている。なお、城壁の跡地は日本統治時代に濠(ほり)として整備され、樹木が生い茂る憩いの場に生まれ変わっている。

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3.かつての映画館は影像博物館となった。

日本統治時代の建築が数多く残る

中正路をそのまま進むと、左手には新竹市文化局影像博物館が見えてくる。ここは日本統治時代、「新竹有楽館」という名の映画館があった場所。すっきりとしたモダニズム建築で、外壁には北投の窯で焼かれたタイルが貼られている。当時としては珍しいフルエアコンシステムを採用しており、最先端の娯楽施設と謳われていた。現在は映画に関する博物館となっており、不定期ながら、ドキュメンタリー映画の上映会などが催されている。
その少し先には、壮麗な雰囲気をまとった新竹市政府(市役所)の庁舎が見える。ここは1926(大正15)年に新竹州庁舎として建てられた官庁建築。台湾北西部の広範な地域を管轄していた機関で、建物は1944(昭和19)年に空襲を受け、一部が倒壊したが、その後に修復されて現在に至っている。
特徴的なのは屋根の部分に黒瓦を用いていることで、独特な雰囲気をまとっている。柱や欄干にも装飾が施され、瀟洒な雰囲気を醸し出している。また、隣の旧新竹市役所も往時の姿を留め、「新竹市美術館暨開拓館」となっている。こちらでは展覧会やイベントなどが随時催されている。
新竹市政府の向かいには1937(昭和12)年に竣工された消防署が残っている。新竹は雪山(旧称次高山)から吹き下ろす風に加え、冬場になると東北季節が吹きつけ、強風に晒される。とりわけ、冬場は頻繁(ひんぱん)に火災が起こるため、消防が重視されるようになった。建物の中央には市内を見おろせる櫓(やぐら)があり、長らく市内で最も高い場所だったといわれる。現在は消防博物館となっており、参観が可能だ。

新竹を代表するグルメスポット

歴史建築巡りを楽しんだ後は食べ歩きを楽しみたい。市政府の正面にのびる中山路を進んでいくと、左手に城隍廟が見えてくる。ここは新竹を代表する古刹(こさつ)で、信仰の中心であるだけでなく、味自慢の屋台が集まることで知られている。
まずは新竹名物のビーフン(米粉)を味わおう。新竹のビーフンは冷たい風に当てることで出てくる独特な歯ごたえが自慢だ。廟内にはいくつもの屋台があるが、おすすめは創業80年を誇る「阿城號米粉」。もう一つの新竹名物である「摃丸湯(すり身団子のスープ)」も合わせてオーダーしたい。
また、「鄭家魚丸燕圓」も見のがせない店。「魚丸」と「燕圓」は新鮮な鮫の魚肉を用いたつみれのこと。特に淡いピンク色をした燕圓にはクワイや紅麹が用いられており、一度食べたら忘れられない食感となっている。
さらに、廟の外側にも行列の絶えない人気屋台「郭家元祖潤餅」がある。潤餅とは台湾風クレープというべきもので、中にはキャベツやニンジン、大根、もやし、豚肉、卵などを炒めたものがどっさりと入っている。ボリューム満点だが、意外にもペロリと食べられる。
食後のデザートには城隍廟の脇にある「阿忠冰店」(東門街187號)を目指そう。ここは1963年創業のかき氷店で、現在は二代目が切り盛りしている。屋台から始まった小さな店だが、現在は5階建ての立派なビルとなっている。ここの特色はパイナップルを8時間煮込んで作ったという特製シロップ。アズキや緑豆、金時豆など、トッピングも豊富だ。パイナップルの風味がほのかに漂い、さっぱりとした甘さが自慢だ。
新竹の人々は郷土愛が強いと言われている。おすすめの一品を尋ねてみれば、熱心にいろいろと教えてくれるはずだ。地元ッ子の気概に触れながら、街歩きを楽しんでみよう。

(2016年12月号掲載)


アクセス
台北から新竹までは台灣高速鐵路で所要約32分。高鐵新竹駅からは台鐵六家線に乗り換え、在来線の新竹駅へ。特急自強号を利用すれば所要1時間余りなので、乗り換えのない在来線の利用がお勧めだ。市内の散策は徒歩で十分。また、台北市内各地から高速バスも頻繁に出ている。バスは新竹駅近くに乗り場がある。


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