台湾製造本舗vol.26 宜龍 EILONG  

洗練されたデザインと戦略で 台湾茶器産業の先端を行く  

取材・文:高橋真紀

台湾にいればおのずと茶器を見る機会も増える。茶器を扱うお店で、デザインに引かれて手に取ると、よく「宜龍 Eilong」というロゴを見た。茶器メーカーなのだろうが、どこにいけば専売店があるのだろう。そう思っていたら、観光客でにぎわう永康街に店舗ができているのを見つけた。店員さんに聞いてみると、このお店ができたのは昨年2015年。しかし社史を調べてみると1987年創業、とある。そこで、現在業務総監として宜龍の事業を取り仕切る、陳世河さんに話を聞きに行った。
創業者は陳さんの父親ということだった。1960年代に焼き物で有名な街・鶯歌で陶器を売っていたのが始まりで、87年に親友と共に「宜龍」というブランドを打ち出した。鶯歌の陶器産業が衰退した90年代、宜龍は中国への進出に活路を見出す。2000年には中国に子会社を設立し、大規模な工場での量産化に成功。手ごろな価格も強みとなっていった。

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話を聞いた陳世河さんは次男で、現在デザインの多くを手掛けるのは長男の陳世億さんだという。「僕たちは5人兄弟で、家も貧しかった。漫画を買うお金がない時は、兄が漫画を描いてくれました」。絵や芸術の才能に恵まれた長男の存在が力となり、洗練されたデザインの茶器が生まれていく。2000年以降、2代目が経営面を任されるようになってからは、これまで明確な役割分担がなかった仕事をデザイン部、営業部、経理部などに細分化。それぞれの仕事を専門化したことで、業績が大きくアップしたという。
台湾内での出店は、いつも話には上るものの、先延ばしになっていた。商品を卸している顧客の中には、メーカーが小売販売の前線に出てくることに反対する声も多かったのだ。しかし中国での成功で名前が広まると、台湾内に店舗を出してほしいという声がさらに高まった。顧客を説得してオープンにこぎ着けたのが2014年。1号店は九份に誕生した。現在は永康街のほかに台北駅前と、宜蘭に店舗を構える。

斬新なデザインと経営戦略

ブランドを代表するデザインの一つに、二つの異なる素材を組み合わせたものがある。最初に誕生したのは2006年ごろの「晶艷亞洲」と呼ばれるシリーズ。ガラスのティーポットに磁器のふたが美しいコンビネーションをみせ、東洋と西洋が融合した独特の雰囲気がある。真っ白な磁器と木製の取っ手やふたからなる「白. 居易」シリーズも人気。陳世河さん曰く、「宜龍の強みは、50年以上陶磁器に携わって、材料を知り尽くしていること」。見た目の美しさだけでなく、使い勝手も抜群で、北アメリカやヨーロッパにも輸出されている。海外に顧客が多いため、各国の安全基準もクリア。イギリスではハイアットやウエスティンなど名だたるホテルの館内で、宜龍の茶器が使われているそうだ。

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十分順調に見える宜龍だが、陳世河さん兄弟はもっと先を見据えていて、今後の計画が幾つもあるということだった。まずは中国でオンラインショップを充実させること。つづいて2017年3月に千葉の幕張メッセで開催される「FOODJAPAN EXPO(国際食品・飲料展)」で成功し、日本進出への足掛かりにしたいと考えている。
将来的には中国の工場を台湾に移すのが優先課題だが、そのためには人材確保の問題を解決しなければならない。機械化で量産できるとはいえ、焼き物の丸みや継ぎ目を修正するなど、細かい作業の多くはまだ手作業だからである。これにはとんでもない秘策があった。なんと鶯歌の職人たちの経験とノウハウを、コンピューターにプログラミングするというのだ。現在開発中の“陶芸ロボット”とでも呼ぶべき機械が完成すれば、工場はすべてが完全にオートメーション化され、24時間陶器を作ることも可能になるという。
台湾内の店舗も今後南部などに展開予定。ここにもコンピューターによる画期的な戦略を取り入れる。店舗を訪れた人、特定の商品を見た人の年齢や性別を、カメラから自動的に判別、集計し、販売促進に生かすのだそうだ。もちろんこれは台湾初の試みとなる。
中国進出や斬新なデザインで台湾茶器産業の先端に躍り出た宜龍。製造とマーケティングのデジタル化によって、今後どのような変化が起こるのか。注目していきたい。


宜龍 EILONG
URL:www.eilongshop.com.tw

直営店

●永康店
所在地:台北市大安區永康街31巷16號(MRT東門駅5番出口)
TEL:02-2343-2311/營業時間:12:00~21:30
●九份店
所在地:新北市瑞芳區輕便路296號
TEL: 02-2496-9685/營業時間:11:30~20:30
●傳藝中心
所在地:宜蘭縣五結鄉五濱路二段201號(民藝街)
TEL:039-507649/營業時間:09:00~18:00
●凱撒店
所在地:台北市忠孝西路一段38號(台北駅M6出口)
TEL:02-2388-0807/營業時間11:00〜22:00


(2016年12月号掲載)

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