田中千絵 『海角七號』の友子は絶対に譲れない!

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『海角七號』(海角七号/君想う、国境の南)の友子から10年、5月に高雄で上演される宮本亜門演出のミュージカルではオーディションでこの当たり役を手にした田中千絵。ゆったりと穏やかな口調の中にも、強い意志が感じられた。今年はこの他にも平田オリザ作品にも出演するという、舞台進出のスタートを切った。

 

―まず、ゲスト出演されている1月26日公開の魏徳聖(ウェイ・ダーション)監督の『52Hz, I love you』について聞かせてください。

「レストランのマネジャー役で出ています。この映画は脚本では緻密に計算されているのにそれが表に出ることはなく、せりふに込められたユーモアが盛りだくさん、見終わった後に温かい気持ちになります。最近はCGを使った大作が多くて、それはそれでスカッとしますけど、この映画は小品ながらとてもハッピーになれるバレンタインデーにピッタリの映画だと思います」

―『海角七號』のメインキャストが総出演ということですが、現場では同窓会のような雰囲気だったのでは?

「はい。とっても楽しかったです。『海角七號』から10年ということで、魏監督がまたみんなを集結させたいと機会を作ってくれました。映画の中で海角バンドのメンバーはちょこちょこ出てくるのですけど、全員が同じシーンに登場するのは、最後のところだけです。バレンタインデーにメインキャストの4人がレストランで食事をするシーンで、麥子(マイズ)や林暁培(シノ・リン)、馬如龍(マー・ルーロン)と沛小嵐(シー・シャオラン)ご夫妻も出ますよ。こういう機会を作ってくれて、本当にみんなで感謝しています」

―若い4人のミュージシャンは、千絵さんから見ていかがでしたか。

「これもまた魏監督って本当にすごいなと思うところですが、『KANO』も『賽德克·巴萊』(セデック・バレ)も役者でない人たちをちゃんとその役に見えるようにする演出が上手ですよね。スミンは演技経験がありますが、その他の3人は全く初めてなのに自然に映画の中に存在していると思いました。魏監督は役者にプレッシャーをかけることなく、うまくその役者の特質を引き出すからでしょう」

―さて今、初めての舞台『海角七號』のミュージカルに向けてレッスン中だそうですね。

「はい。前から魏監督にこの話は聞いていたのですが、演出の宮本亜門さんが歌に関してOKを出さないと採用されないので、オーディションを受けました。でもオーディションまで2週間しかなくて、毎日必死に歌の練習をし、これでもしダメだったらどうしようと眠れないくらいでした。海角メンバーで私だけ歌手ではないので亜門さんが不安なのは当然でしょうけど、私も2週間の結果で評価を下されるのは納得できないという気持ちがありました。でもこの役は絶対にやりたい、もしダメだったらもっとレッスンの期間をもらってまた聞いてもらえる機会をいただくために直談判しようと思っていました。そして歌い終わったら、亜門さん何も言わないのです。どうしよう……と思い、結果を聞きに言ったら「お願いします」と言われ、その場で泣き崩れました。そばにいた魏監督の前でも泣き崩れました。だって、友子は私にとってとても思い入れの強い役ですし、短期間のレッスンで評価されて他の人になったら悔しいですから。久しぶりです、こんなに役が欲しいと思ったのは(笑)」

―今はどんなレッスンをしているのですか。

「歌はもちろんですが、中国語の発音をもう一度勉強しなおしています。10年もこちらにいるので普通に喋っていますが、舞台は発声も違いますから先生について再勉強しています、お箸をくわえて」

―なぜお箸?

「中国語は口の中の前の方で音を出すので、お箸をくわえると正確に出せるようになるのだそうです。ですから毎日1時間はお箸くわえながら中国語の発声をしています」

―心構えも違いますね。では、勝ち取った友子をぜひ多くの方に見ていただきたいので、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

「魏監督もずうっと希望されていたという『海角七號』のミュージカルは、キャストもほぼオリジナルですが映画とはまた違った楽しみを味わっていただけると思います。5月4日~5月7日に高雄至德堂で初演です。ぜひ日本の皆さまにも見に来ていただけたらと思います」

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田中千絵 profile
1981年08月17日東京生まれ。1996年日本でデビュー。2005年香港映画『頭文字D』(頭文字<イニシャル>D)への出演をきっかけに2006年に一念発起し、本格的に中国語を学ぶべく単身台湾へ留学。2008年映画『海角七號』のヒロインに抜擢され一躍時の人に。その後も広く中華圏で活躍。2017年は宮本亜門演出のミュージカル『海角七號』(海角七号/君想う、国境の南)と平田オリザ作・演出『台北ノート』で舞台に進出。
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(2017 年1月号掲載)

 


『52Hz, I love you』  Ⓒ果子電影
魏徳聖監督の音楽映画。宇宙人、棉花糖、圖騰、小男孩ら台湾の人気バンドの各ボーカルが、恋に不器用な都会の若者たちを熱演。愛を信じる人に贈るハッピーなバレンタインデー・ラブストーリー。
出演:小玉(シャオユー)、荘鵑瑛(ジョン・ジェンイン)、スミン、陳美恵(チェン・メイホイ)、林慶台(リン・チンタイ)、趙詠華(シンディ・チャオ)。
特別出演:范逸臣(ファン・イーチェン)、田中千絵ほか
監督:魏徳聖
1月26日公開

ミュージカル『海角七號』
映画を見て感動した宮本亜門がミュージカル化を熱望、念願がかない5月4日~5月7日に高雄至德堂で公演。范逸臣、田中千絵ほかほぼオリジナルキャスト。プロデューサーは魏徳聖。


(其他)取材・文:江口洋子/写真提供:アミューズ台湾

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