好兄弟

擴音器 台湾語は北部、中部、南部と各地方、各家庭によって発音が異なることがあります。ここでは、異なる地方出身の台湾語ネーティブの発音を複数収録しました。

[台湾語]好兄弟

   (ホーヒャンディ)

擴音器

[日本語訳] 亡霊、幽霊

 

[例文]  你拜好兄弟抑未?

(リ バイ ホ ヒャン ディ ヤッ ベッ)

擴音器

 

[台湾華語]  你拜好兄弟了嗎?
(ㄋㄧㄧㄅㄞㄞㄏㄠㄠㄒㄩㄥㄉㄧㄧ˙ㄌㄜ ㄇㄚ)

[日本語訳] 好兄弟を供養しましたか?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

台湾では旧暦の7月のことを鬼月(guǐ yuè)といいます。旧暦なので、西暦に直すと毎年時期が違います。

2017年だと8月22日から9月19日。旧暦の7月1日になると、鬼門關(guǐ mén guān)、つまり地獄の扉が開き、あの世から霊が人間界に戻ってきて、現代風に言えば、一カ月の夏休み(?)を満喫することができるとされています。

陰間(yīn jiān)つまり「あの世」からやってくるのはご先祖様の霊だけではありません。鬼(guǐ)、つまり亡霊、幽霊も一緒にやってきます。その鬼のことを婉曲な表現として台湾語で「好兄弟(ホーヒャンディ)」と呼びます。華語では好兄弟(hǎo xiōng dì)と発音します。中華圏には「四海之內皆兄弟」、つまり「四海の内のみんなは兄弟なり」という思想があります。真偽は不明ですが、「あの世からやってきた存在とも兄弟のように仲良くしましょう」という発想から来た表現かもしれません。「兄弟なら、むやみに自分たちに危害を加えないだろう」という牽(けん)制もあるかもしれませんね。

「好兄弟(ホーヒャンディ)」にとっては、年に一度人間界で息抜きができる絶好のチャンスなわけなのですが、よし!ここぞとばかりに暴れてやろうと思われたら、困るのは人間界にいる我々です。一カ月の間、お腹いっぱい召し上がってもらって気持よく、おとなしく満足な気分で冥界にお帰りになってもらいたいので、ご馳走=お供え物を用意して普渡(pǔ dù)と呼ばれる儀式でもてなします。
この時期になると、毎日あっちこっちの家庭、店先、オフィスなどの入口前に四角いテーブルを広げてお供え物や料理など並べて拜拜(bài bài)、つまり「お祈り」をして供養する人たちの姿をよく見かけます。中でももっとも盛大に拜拜が行われるのは旧暦の7月15日、中元普渡(zhōng yuán pǔ dù)の日です。中華圏における一大イベントです。

ところが、拝む相手が相手ですから、タブーや注意点が幾つかあるのを覚えておきましょう。まず、時間帯ですが、午後2時から7時までの限定です。香蕉(バナナ)、李(スモモ)、梨(ナシ)の3種類の果物を同時に供えてはいけません。なぜなら、蕉李梨の台湾語発音は「招你來(ジョリライ)」、つまり、「おいでくださいませ」と同音です。鬼に家の中に居座られてもあまり気持ちのいいものではないですよね。また、みんなが大好きな鳳梨(パイナップル)もできれば避けるべきとされています。パイナップルの台湾語の発音は旺來(オンライ)と同音で、商売が繁盛したり、運勢がますます上昇気流に乗るという意味の縁起の良い供え物ですが、「好兄弟(ホーヒャンディ)」にますます元気になられても困りますからねえ。

逆に、よく見られるお供え物が、洗面器に水を入れてタオルや歯ブラシなどを用意するというもの。これは体をきれいにしてもらってリセットしてほしいという意味合いを込めているそうです。

拜拜の場所も大事です。家の中やベランダなどでは絶対駄目です。通常は建物の入口の外です。鬼に家の中に入ってきてもらっては困りますからね。

ともかく鬼月の期間中は、目に見えないのですが、現世は「好兄弟(ホーヒャンディ)」で溢れ返ってっているはずですから、人間はおとなしくじっとしているのが一番いいとされています。

(文:趙怡華/2017年8月号掲載)

広告

コメントを残す