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簡嫚書 (ジエン・マンシュー)

いつか人を癒やせる作品づくりを

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Facebookでの出会いをきっかけに国際結婚した日本人男子と台湾人女子カップルのフォトブック『雖然媽媽說我不可以嫁去日本。』(。)。この本が二人のFacebookページと共に台湾と日本で好評を博し、ついに今年、同名映画が公開となる。そのヒロイン・リンちゃんを演じるのが、若手俳優の簡嫚書だ。
透明感あふれる雰囲気が魅力的な彼女は、大学時代にテレビCMで注目を集め、デビュー作品『那年,雨不停國』(あの日を乗り越えて)で金鐘奨主演女優賞、2015年には映画『菜鳥』で金馬奨助演女優賞にノミネートされるなど、期待の実力派俳優。今回は、その新作映画のエピソードや国際結婚についての考え方、役者・監督としての思いなどをたっぷり語ってもらった。

―『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』の原作を読まれた時の感想をお聞かせください。

「台湾女子には、『あるある!』とすごく共感できる面白い作品だと思います。『台湾女子のトイレのドア事件』では爆笑しました。台湾の女性はトイレのドアを閉めない、あるいは鍵を閉めない率が高いという話で、実は私の母もよくドアを開けたまま(笑)。これは日本ではありえないことですよね」

―リンちゃんご本人も撮影現場に来られたそうですね。実際に会ってみて、彼女はどんな人だと思われましたか。

「リンちゃんはこの映画に強い関心と情熱があります。監督は、無理せず暇な時に来ればいいよと言ったそうですが、ほとんど毎日撮影現場に来てくれました。彼女は獅子座のせいか明るく楽観的でいつも元気。考えていることがすぐ言動に出る素直な女の子です。母親と争うシーンや(夫の)モギサンと誤解が生じたシーンの撮影中、リンちゃんはモニターを見て泣きながら『みんな演技力すごいよ~』と、とても感動した表情で私たちに言ってくれました。そして欲しいもの、生活の理想を求める勇気、すぐに人を拒絶せず、オープンマインドなところも、とても台湾の女の子らしいと思います。もし彼女がシャイで、最初のモギサンからのメッセージに返信していなかったら、何も始まらなかったでしょうね」

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―簡嫚書さんご自身はリンちゃんと似てるところや共通点はありますか。

「私は天秤座ですから、もう少し落ち着いた感じかな(笑)。そういえば日本に撮影に行ったある日、みんなで交差点を渡ろうとした時、残り数秒しかないのにリンちゃんは娘の凛花ちゃんを連れてダッシュで渡ったんですよ。私は次の青信号を一緒に待つスタッフを見て大笑いしました。みんな天秤座だったんです。同じ台湾女子でも、性格はそれぞれですね。あえて共通点を挙げるなら、リンちゃんがモギサンと一緒になれるよういろいろ努力したように、私も自分の夢や欲しいもののためなら勇気を出して追い求めるところです。たとえ傷だらけになっても、結果が思うようにならなかったとしても、頑張ってやれば、後悔はしないと思います」

―では演じる上で難しいところはありましたか。

「この映画は実話を基にして作られていますから、私の理解や想像だけの役作りでは足りません。本人には言っていませんが、私はよくこっそり彼女の仕草や話し方をまねしていました。彼女がいつも撮影現場に来てくれたおかげで、彼女らしい役作りができました」

―モギサン役の中野裕太さんとは一緒に仕事してどうでしたか。

「中野さんはとても面白い変人です(笑)。生粋の日本人とは信じがたいハーフのようなルックスで、いい意味で変わった人。初対面の時からあまり距離を感じさせない人で、撮影現場で変な踊りを踊ったり、場を和ませる行動が印象的でした。休憩中は、まるで台湾人のように路上のバイクに座ってお弁当を食べたり、短い間ですっかり台湾に溶け込んだ感じがとても親しみやすかったです」

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―谷内田彰久監督とも初めての共演ですね。どのような監督でしたか。

「監督も面白い大阪人です。私と監督は笑いの感性がぴったりで、忘年の友といえるぐらい(笑)。他の台湾人には『?』となるところでも、私はいつもツボを突かれます。例を挙げるのは難しいけど、言ってみれば私たちの笑いどころは表拍ではなく裏拍にあります。LINEのスタンプでも会話が成り立つんですよ」

―リンちゃんとモギサンのような国際結婚には憧れますか。

「ええ、彼女たちのストーリーは本当にドラマチックですから。それに外国人の夫や恋人がいれば、その国に遊びに行く理由ができるし。 旅行もいいけど、もし他の国をもっと深く理解したいのなら、その国にロングステイする他に、その国の恋人がいたら一番早いと思います」

―でも国際恋愛や国際結婚にはいろいろな問題や困難があるはず。茂木夫婦、あるいはこの作品を通して、国際結婚の秘訣は何だと思われましたか。

「付き合う段階ならまだしも、結婚となれば、一人は自分の国を離れて外国で暮らすことになります。お互い親密な関係を維持するには一緒に生活するのが一番大切。結婚した後、リンちゃんはモギサンについて日本に行き日本で暮らすことになりました。時々日本と台湾と行ったり来たりしても、できる限り一緒にいる、とても団結力がある家族ですから、彼女たちの結婚はうまくいっているのだと思います」

 

テクニックに頼らず、遊び心をもって演じたい

 

―あなたにとって役者として大切なことは何ですか。

「外見なら肌のケアと体調管理、内面なら常に学習意欲を持つことと感性を磨くことが重要だと思います。そして自分の生活を充実させることも大切です。かつて2年ぐらいの間、次々と仕事が決まり、この役からあの役へと転がるように演じていたころ、振り向くと簡嫚書自身には何もなかった。家族や友達との時間がほとんどなかったんです。日記さえも書けないという状態になって自分の生活は空白でした」

―それで今年は少し仕事の量を調整されたのですか。

「そうですね。少し間をあけてリラックスできる状態に。年齢を重ね、今の自分の年齢、内面にふさわしい役柄を選んで演じたいと思うようになりました。例えば今の私が学生の役をやっても……顔で多少ごまかせたとしても、すでに目線や内面は違うから、たとえ以前の作品をもう一度演じてみても、絶対に異なる感じになります」

―この先、やってみたい役柄はありますか。

「やったことがない役が多いので、学生以外ならなんでも。スパイとか(笑)機会があれば、カンフーができる役柄などもやってみたいですね。普段ヨガをしているので、体を使う新しいテクニックもいつでも挑戦できる自信があります」

―役者を生涯の職業にしたいですか。

「役者をやることは私にとって楽しいことですから、『職業』という考え方はちょっと重いです。テクニックだけを重視する、想像力がない役者になるのは怖い。英語の『Play』は演じるという意味もあるように、私もいつも遊び心を持って楽しく役を演じています」

―かつて、48時間という短時間でショート映画を撮り、監督賞を受賞されましたね。以前の本誌のインタビュー(13年1月号)でも監督になるのが夢だとおっしゃっていますが、今後また作品を撮るご予定は?

「もちろんあります。監督になることこそ私がずっと一番したかったことですから。音楽を聞いたり本を読むことで癒やされることがあるように、人の心を癒やすこともドラマや映画の一つの重要な役割だと思っています。実は高校の時、人を癒やしたいという思いから中医の医師になりたいと思ったことがあります。芸能界に入り、母に『今のスキルと中医学を合わせて、心を癒やせる作品を撮ればいいんじゃないか』と言われたことがきっかけで、癒やしの作品を撮ることが、一番したいことになりました。どんな内容かはまだ言えませんが、最近はシナリオも書いています。目標は今年中に撮影を終わらせることです」(2016年5月号掲載)

 

プロフィル

10月16日生まれ。2010年、『那年,雨不停國』(あの日を乗り越えて)でドラマデビュー。この作品で金鐘奨主演女優賞にノミネートされるや、ドラマ『翻糖花園』(12)、『你是春風我是雨』(12)、『大稻埕』(14)、映画『南方小羊牧場』(12)、『白天的星星』(12)など話題の作品に次々出演。『菜鳥』(15)では台湾アカデミー賞と呼ばれる金馬奨で助演女優賞にノミネート。最新作は『雖然媽媽說我不可以嫁去日本。』(16)。

 

撮影:彭世杰/撮影協力:在欉紅本鋪

在欉紅本鋪
台北市大安區金山南路二段192巷8號
電話:02-2391-2978

 

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