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丁噹 (ディンダン) Della

広音域を操る実力派シンガー新たな曲風に挑戦!

今回ご紹介するのは、藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』好きが高じて、初期翻訳版の中国語タイトル『小叮噹』から名を取ったという歌手・丁噹。
多数のドラマ主題歌・挿入歌を歌い、「我愛他」(ドラマ『下一站,幸福』オープニング曲)、「不是你的錯」(ドラマ『真愛找麻煩』挿入歌)、「手掌心」(ドラマ『蘭陵王』エンディング曲)、「身不由己」(ドラマ「歩歩驚情」主題歌)などのヒットで人気を集めた彼女は、幅広い音域を歌いこなす実力派シンガーとして、中国浙江省出身ながら台湾を中心に活躍している。
昨年2月から今年5月にかけて、ワールドツアー「我愛你戀習曲」で台湾をはじめ、上海、広州など中国の都市や、マレーシア、シンガポール、マカオなどを巡演中。そして3月18日に8枚目のアルバムとなる『當我的朋友』をリリース。今回のインタビューでは、彼女が新譜に込めた想い、デビュー前のことなどを語ってくれた。

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―2年ぶりのニューアルバムですね。

「そうですね。以前はずっと仕事ばかりで、自分のための時間がなかなか取れなかったので、この2年間は休暇をたくさん取り、自分のやりたいことをしました。去年は『丁噹 我愛上的 台北生活』の旅行ガイドブックを出版し、中国で歌番組『蒙面歌王』に参加しましたが、そのほかは一人でいる時間を増やし、自分と対話できる環境を作りました。ジムや温泉に行ったり、映画を見に行ったり、一人で食事もしました。時間がある時は、街中の片隅に座って、人間観察もしましたね。10分、20分という短い間でもいろいろなことが目の前で起きるんですよ。例えばカップルのけんかとか(笑)。こうして自分自身の充電ができたことは、今回のアルバムのエネルギーにもなりました」

―では、どんな作品になりましたか。

「以前は丁噹といえば、ラブソングや失恋の歌が多いイメージだったしょう? 今回もラブソングはあるけれど、曲風に変化があり、アルバム全体は明るくて、軽快な感じになっています。実際、私はもともと明るく活発な性格なので、この一面もみんなに知ってもらいたいと思って……。タイトルの『當我的朋友』(私の友達になる)は、自分が自分の友達になるという意味を持つんです。つまり自分を大切にしようという意味です。自分が幸せでなければ、愛する人を幸せにすることもできないと思うので。今回のアルバムを通して、自分を大切することも大切だと伝えたいです」

一番好きな曲はありますか。

「たくさんあるけど、あえて挙げると『只是不夠愛自己』です。恋をすると、自分を見失って相手が自分の世界のすべてになるということがありますよね。特に女性に多い気がします。先ほど言った自分を大切にすることにもつながるのですが、相手に合わせるために自分らしさを失ってはいけない、もっと自分を愛するべきだよって。この歌のPVは日本の東北で撮ってきたんですよ。景色がとてもきれいで、わんこそばを食べるシーンや、雪が積もる道を走るシーンが面白くて、特に印象的でした」

―ご自分で作曲した曲もありましたね。

「『不是不寂寞』ですね。この歌はまさに私の心情です! 寂しくないわけじゃない、恋もしたいと思っているけれど、誰かと適当に一緒にいるわけにはいかないから、寂しさと友達になるのが私の課題、ということですね」

―このアルバムで新たに挑戦されたことはありますか。

「MP魔幻力量(MAGIC POWER)の鼓鼓とコラボレーションした曲『Natural high』は、これまであまり歌ったことがないヒップホップの曲で、リズム感と言葉で遊ぶ感じがとても面白いです。実は去年、ニューヨークで半月ぐらい声楽とダンスの授業を受けました。以前は、主にのどで発声をしていたので長時間歌うとかすれていましたが、ニューヨークでしっかり腹式呼吸のトレーニングをしたので、歌い方もちょっと変えました。腹式呼吸で歌うと、のどの調子が安定して、声量ももっと出るようになりましたね」

―5月21日の高雄のコンサートに向けて特に心掛けていることは何ですか。

「やはり体力を養うことです。コンサートは3時間ほど続くので、とても体力が必要ですから。特に今回はハイヒールを履いて、ステージを走る予定があるのでなおさら(笑)。普段から週に3、4日はジムに行ってトレーニングをしています。宣伝時期で忙しくても、なるべく行くようにしないと」

―もうすぐデビュー10年目ですが、デビュー前は結構ご苦労されたそうですね。

「17歳の時に実家を出て各地を転々とし、いろいろなバーで歌手のアルバイトをしていました。最初の何年かはお金がなくて、出演する時の服さえ先輩たちから借りるなど、生活が苦しい時期がありました。ですが、一番つらかったのは、初めて音楽会社と契約できたにもかかわらず、歌うチャンスに恵まれず待つだけだった時期ですね。一度夢がかないそうになったのに、4年以上待たされましたから、また夢が遠ざかってしまったと感じました」

―諦めたいと思わなかったですか。

「何回もありましたが、歌が好きという気持ちのほうが強かったので、何とか耐えることができました。でも、ずっと何もしないまま待っているわけにはいかないので、自分で期限を設定して、歌の練習などできることはしました。『機會是給準備好的人(チャンスは準備万端な人に与えられる)』ということわざを信じて、音楽会社からの仕事がなくても、私は毎日充実した生活を送るようにしました。夢の実現は努力を重ねる必要があると思います。この待機期間に、学校で勉強して杭州師範大学にも受かったので、もし本当に契約した5年内にアルバムを出せていなかったら、幼稚園の先生になっていたかもしれませんね」
―期限が来る前に、今の相信音樂と契約ができてよかったですね。
「はい。途中で夢を諦めなくてよかったです」

―最後に日本のファンにメッセージを。

「応援してくれている皆さん、ありがとうございます! いつも日本からサイン会に来てくださる方々にも感謝しています。音楽でいろいろな方と出会えることはとてもうれしいです。これからもどんどん台湾に遊びに来てください。機会があれば、ぜひ日本でみんなに会いたいです」

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(2016年4月号掲載)

1983年4月17日生まれ。2007年、ファーストアルバム『離家出走』で歌手デビュー。その他のアルバムは『我愛上的』(08年)、『夜貓』(09年)、『【下一站,天后】自選+精選』(10年)、『未來的情人』(11年)、『好難得』(12年)、『敢愛敢當』(14年)など。最新作『當我的好朋友』は16年3月18日にリリース。

 

取材・文:張引真(編集部)/写真提供:相信音樂

 

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楊謹華(シェリル・ヤン)

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戦時中を描いた新作でブレイクスルー

学生時代にモデルを経験、卒業後は女優としてデビューし、テレビドラマ、映画、CMで活躍。ドラマ『貧窮貴公子』(山田太郎ものがたり〜貧窮貴公子〜)、『我的秘密花園』、『白色巨塔』(ザ・ホスピタル)、『原來愛.就是甜蜜』(私たち恋しませんか?)など数々の人気作品に出演し、演技力を磨いてきた実力派俳優。特に2008年の『敗犬女王』で見せた30代独身キャリアウーマンの演技は、多くの女性の共感を呼び絶大な人気を集めた。
現在放送中の話題の最新作『一把青』では1945年代の空軍飛行隊長の妻・秦芊儀を好演。新作の撮影エピソードなどを伺うと、その落ち着いた話し方から穏やかな人柄が伝わってきた。

 

―デビュー15年、ほぼ毎年一つ以上の作品に出演されていますが、最も印象深い作品は何ですか。

「長くやっていると、ターニングポイントになった作品が一つ、二つあります。私にとっては『白色巨塔』、『敗犬女王』と、今放送している『一把青』の三つですね。『白色巨塔』はコツというのをつかんだのか、あらためて演技、芝居に興味を持つようになり、撮影が終わった後にニューヨークに行き、演技の授業を受けたんです。私を変えた作品ともいえるでしょう。『敗犬女王』は皆さんの知っている通り、單無雙(主人公)の年下の男性との恋の話で、当時は話題になりました。今回の『一把青』は私の中で、一つの峠を越えた作品です」

―『一把青』は1945年代を背景にした物語ですね。

「ええ。この作品に出演できたことに本当に感謝しています。1945年は今生きている人たちが知らない、あるいは忘れかけている戦争の時代。『一把青』に出演することで、その時生き残った人たちの世界の一端を知ることができ、今の平和で、物質的に豊かな環境をもっと大切にしたいと思いました。当時の人たちが命で引き換えた成果ですから。戦争の時代が背景ですが、曹瑞原(ツァオ・ルイユエン)監督は戦争そのものを撮りたかったわけではなく、その時代に生きた人たちを描いた物語なのです」

―『一把青』は、作家・白先勇(バイ・シエンヨン)さんの同名作品ですが、彼の作品で読まれたものは?

「曹監督が以前撮った作品でもある『孤戀花』は好きです。『一把青』の撮影前には、みんなで『台北人』も見に行きました。白先勇さんの作品はとても繊細で感情が細やかで、男性なのに女性の視点からも描ける。感性のある男性は非常に男らしく格好いいと思いますね。香港の陳可辛(ピーター・チャン)監督が撮った映画もそう感じます」

―『一把青』の秦芊儀は、どんな役柄ですか。また演じてみていかがでしたか。

「秦芊儀は空軍の飛行隊長の妻で、夫が空のことに専念できるように、地上(空軍の家族が住む村)のことを代わりに管理します。彼女はもともと裕福な家庭で育ちました。教師や医者など安定した職業の人と結婚できたのに、明日もわからない空軍の江偉成に出会って、駆け落ちしました。心の中では安定した生活を望んでいるけれど、自分が選択したことは圧力に屈しない意志を持っている、芯が強い人です。私から見ると、ほかの選択もできたのに、その性格が彼女の運命を決めたとも思います。戦乱の時代に生きた人が抱えた心の痛みを、目で自然に伝えないとならないので、演じる上でそれが難しかったです。でもこの役柄を通して私自身も成長できたと思います。友達からも『師娘(秦芊儀)みたいに話すのがゆっくりになって大人の余裕ができた感じがする』と言われました」

―初めて曹監督と一緒に仕事をされて、いかがでしたか。

「不思議とお互い強い信頼関係があります。監督は人の気持ちを落ち着かせて安定感を与えてくれる特質があり、とても心強いですね。役に対してもいろいろなアドバイスをしてくれます。一緒に仕事していてすごく安心できます」

―共演者、特に天心(ティエンシン)と仲良くなったそうですね。何か面白いエピソードありますか。

「そうですね。確かに天心とは特に気が合いますが、7ヵ月10日の撮影を通して、他の共演者とも家族のようになりました。劇中、村の女性が麻雀をやるシーンがありますが、撮影中だけでなく、天心、藍鈞天(ギャビー・ラン)、吳慷仁(クリス・ウー)、溫貞菱(ジェニー・ウェン)はたまに私の家に来て麻雀をやります(笑)。本省人は麻雀は賭け事というイメージがあるので子どもに見せないようにしますが、外省人の子どもは小さい時から大人の膝の上に座り、親が麻雀をするのを見て育ち、普通のテーブルゲームとして学ぶそうです。これも一つの文化の違いですね」

―日本には行かれたことはありますか。どのような印象を持たれましたか。

「ちょうど去年の11月に東北の宮城と福島にショートムービーの撮影に行き、こけしに筆を入れたりしました。若いころ東京にも行ったことがありますが、東北はまた感じが違って、当地の人間味と文化が感じられました。言葉はあまり通じませんでしたが、一緒に撮影したおじいちゃん、おばあちゃんが温かくてかわいかったです」

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―未来の自分への希望や、やりたいことはありますか。

「これからもいい作品に出演し続けること、それだけです。お芝居は私にとって尽きない興味があり達成感の元でもありますが、もし見ている方に感動を与え、あるいは何か考えさせるきっかけになれたら、役を演じ切ったときより大きな達成感になります」

―最後にご自分の座右の銘があれば、ぜひ教えてください

「『不見風雨,哪見彩虹,彩虹總在風雨過後才會出現』(風雨がなければ虹は出ない、虹はいつも風が吹き、雨が降った後に現れる)です」

profile
1977年12月12日生まれ。学生時代にモデルを経験、卒業後に女優デビュー。ドラマ『貧窮貴公子』(2001年)、『我的秘密花園』(02年)、『白色巨塔』(06年)、『敗犬女王』(08年)、『原來愛.就是甜蜜』(12年)などに出演。最新作『一把青』は2月末まで公共電視文化事業基金会で放送中。出演映画は『愛情靈藥』(02年)、『台北晩九朝五』(02年)、『終極西門』(04年)、『奇妙的旅程』(07年)、『一八九五』(08年)『活路:妒忌私家偵探社』(14年)など。

取材・文:張引真(編集部)/写真提供:多彩演製作有限公司

 

(2016年2月号掲載)

 

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