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Formosa 再発見! ローカル線ぶらり旅 内湾線に揺られて客家集落へ

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かわいらしい木造駅者の合興駅 。

 台湾の北西部、新竹の郊外を走る内湾線。平渓線や集集線に比べると、やや地味な印象の路線だが、その分、素朴な風情がたっぷりと味わえる。終点の内湾には客家系住民が数多く暮らしており、彼らの文化に触れることもできる。のんびりとローカル線のミニトリップを楽しんでみよう。 


取材・文:片倉真理/写真:片倉佳史(かたくらドットねっと)

高鉄からのアクセスが便利

深い緑に覆われた山間を進むディーゼルカー。内湾線は台湾鉄路(在来線)の新竹駅を起点とし、終点の内湾まで約27.9キロの距離を結ぶ。沿線で産出される木材や石炭、コンクリートなどを運搬する目的で敷設された路線だが、現在は行楽路線の印象が強い。郷愁あふれる内湾の町も、週末になると都会の喧噪(けんそう)に疲れた人たちが押し寄せ、相当なにぎわいとなる。
2011年には台湾高鉄新竹駅と台湾鉄路竹中駅を結ぶ六家線が開通し、内湾線との直通運転が実現。これにより新竹市街へのアクセスはぐっと便利になった。内湾方面に行く場合は竹中駅で乗り換えとなる。

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「愛」をテーマにしたオブジェが並ぶ 。
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旧型列車を利用したカフェ。

「愛」がテーマの合興駅

内湾線の沿線には観光地らしいものはないが、ぜひとも途中下車したいのが終点から二駅前の合興駅。ここはスイッチバック駅として鉄道ファンの間ではよく知られた存在だった。これは駅舎が斜面上に位置しているため、平らな場所にもう一本線路を敷き、いったんバックして列車が停車するという構造だった。
現在、このスイッチバックはすでに廃止されており、駅自体も廃止する動きがあった。しかし、内湾線での通学をきっかけに知り合ったという地元カップルが駅舎の管理をするようになり、廃駅の危機を逃れた。そして、これにちなんで駅の運命は大きく変わることとなった。

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のんびりとした風情が漂う。

2014年からはハーブグッズの販売で知られる「薰衣草森林」グループが駅周辺の開発を引き受け、カップルのエピソードを元に「愛」をテーマにした公園を整備した。ハート型の看板や願い事が叶う鐘など、至るところで「愛」を強調したオブジェがあるので、今やすっかり「恋人たちの聖地」となっている。敷地内には古い車両を利用したショップ兼カフェもあるので、ここでひと息つくのもいいだろう。
なお、2016年10月22日には、同じく「恋人の聖地」として知られる北海道の旧国鉄広尾線の「幸福駅」と姉妹駅協定を締結し、注目を集めた。今後は日台交流の場としても活用される予定だという。

内湾は客家(はっか)人の町
合興駅を後にし、再び列車に揺られると、緑豊かな車窓が続く。終点の内湾駅を降りると、山のひんやりとした空気が全身を包み込む。
ここより奥に位置する尖石ではその昔、木材や石炭などの資源が豊かで、内湾はその中継地点として栄えた。特に内湾線の開通後は興隆を極め、林場や鉱山で働く人たちのために商店や映画館、酒場などが設けられた。
駅前には今でも昔ながらの家並みが残っている土産物屋や食堂などが並んでいるが、客家(はっか)人が多く暮らす地域だけに、彼らの伝統料理や食材を扱う店が目につく。質素倹約を美徳とする客家人は、料理においても保存を重視し、漬け物などを多用するのが特色だ。芥子菜の漬け物である「梅干菜」や、ゆでた豚肉やキャベツに合う柑橘系ソース「桔醤」など、台北や高雄ではあまり目にすることのない食材も見られる。

素朴な味わいの客家料理を味わう
内湾では本場の客家料理を味わいたい。お薦めはかつての映画館を利用した「内湾戯院」だ。天井が高く、広々とした店内には、往年のポスターや生活骨董などが並べられ、正面のステージでは懐かしの台湾映画が常時、放映されている。

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ノスタルジックな雰囲気 。

料理は梅干菜と豚肉を煮込んだ「梅干扣肉」や、スルメイカと豚肉、セロリなどを炒めた「客家小炒」、米でできた太麺「粄條」など、客家に伝わる家庭料理が味わえる。飾り気のない地味な見た目だが、醤油ベースの味付けなので箸が進むこと間違いなし。しかもリーズナブルなので、一人あたり300元もあればお腹いっぱいになる。

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客家の家庭料理は濃い目の味付け。

食後には客家ならではのデザートを楽しみたい。客家の伝統茶芸とされる「擂茶」やピーナッツ粉をまぶした餅などを供する店がいくつかある。擂茶とはゴマやお茶請けけを擂(す)り鉢で潰し、緑茶や穀類をブレンドした粉を混ぜ、その上から茶水を加えて飲むというもの。ちょっぴり香ばしさもあって、懐かしさを感じる味わいだ。最近ではこれをアレンジした擂茶スムージーなどが人気を集めている。
「山中傳奇」は店先に大きな牛の像があるデザート店。擂茶のスムージー「擂茶冰沙(80元)」や先代オーナーが日本で習得したというミルクで作ったお餅風デザート「牛浣水(100元)」が人気。擂茶は出来上がったものをジュース感覚で飲める。
内湾線は知名度こそ低いものの、その沿線はどことなく素朴さが漂い、昔懐かしい気持ちになる。台北からは日帰り訪問が可能なので、豊かな自然と旅情に浸ってみよう。

(2017年1月号掲載)


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内湾線は台鉄新竹駅と内湾駅を結ぶ。台北から台湾高鉄利用の場合は高鉄新竹駅で台鉄六家線に乗り換え。竹中駅で内湾線に乗り換える。竹中から内湾までは約40分。本数は1時間に1本。内湾線の最終は内湾20時47分発。内湾線は一日乗車券(95元)もあり、途中下車する場合はこちらがお得。

内湾戯院
住所:新竹縣横山郷内灣村中正路227號
TEL:03-584-9260‎
営業時間:11:00~19:00(土・日曜~20:00)
無休

山中傳奇
住所:新竹縣横山郷内灣村光復路18號
TEL:03-584-9290‎
営業時間:11:00~18:00(土・日曜は10:00~)
月曜定休


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